From: 原 優治 <haray2128@yahoo.co.jp> To: junowaki@able.ocn.ne.jp
Date: Thu, 15 Dec 2011 04:37:12 +0900 (JST)
Subject: 12/13の会合に参加させていただき有難うございました
大脇先生。昨日はたいへん充実した政策構想フォーラムへ参加させていただき有難う
ございました。

私は1946年生まれですが、改憲か護憲の議論は学生時代からそれこそ幾度となく
してきましたが、昨日のレクチャー、クエスチョン、ディスカッションすべてが核心をつくす
ばらしいフォーラムになりました。以下、私の思い考えたことを報告します。
 
1.若い時代は、当時の日本社会党と同じく非武装中立論・絶対平和論の立場でした。
  しかし、実社会へ入って経営学、とくにリスクマネジメント論の研究を進めるなかで、
  現行の憲法には現実的視点から重大な欠陥があることがわかってきました。
2.リスクマネジメント論は大きく言って、脅威の現実化をふせぐ予防対策論と、それでも
  防ぎきれずに現実化したばあいの危機切り抜け論の二つから構成されています。
  現憲法には、後者における現実的な危機切り抜け策が抜け落ちているのがわかって
  きたのです。なお、一般法は国民全体に対してですが、憲法は国の基本的なあり方・方
  向を示すものであり特筆すべきはそれが政府に対してあり方・方向を強く規制するもの
  であることです。
3.その憲法が、現実的脅威に対して、いくら敗戦ショックとはいえまたGHQの強い指導があっ
  たとはいえ、9条が示すような幻想的な理想論に埋没してしまっていいのだろうかと疑問を
  抱いたことをいまでも憶えています。平和を求め銃をとらないと決意することと、起こるかも
  しれない現実の脅威に備えてしっかりと軍事の備えをすることは矛盾しないと考えました。
4.しかし、当時の吉田内閣は、当初のGHQの指導を逆手に取って、日本の経済復興・経済
  成長を考えた場合軍備へ予算をなるべくさかない為にも憲法9条を守っていく姿勢を打ち
  だしたほうが得策と考えていたふしがあります。また当時の日本にあっては、日本社会党
  や日本共産党が強くて社会主義を将来の体制として理想化している人も少なからずいて
  ソ連や中国へ親近感をもっており、保守政党がリードしていたとはいえ、国論が大きく二分
  されていたのも事実です。
5.私は徐徐に改憲論へ変わっていったのですが、改憲か護憲かの議論をする時いつも感じ
  たのは、世界の国々を見渡してみると、日本にあっては自分の国は自分たちでしっかり
  守るんだという気概が全般的に欠けており、我々日本人は全体として世界のなかできわ
  めて特殊な人間の集まりになってしまっていると感じることです。アメリカからイランの
  石油を買わないようになどという干渉を受けてしまうのも日本が自国を守りきれて
  いなからだと考えます。
6. 私自身は、1996年亡くなられた若泉 敬氏と思いを同じくするのですが、日本は憲法9条
  を改正して、自分の国は自分自身で守るための軍備を持つことに改正したいと考えます。
  ゆくゆくはアメリカに頼らずにいきたいと考えます。よその国に守ってもらって経済発展
  していこうなどとすることは、若泉氏が指摘したようにまさに”愚者の民”がすることであり、
  これからもこのような姿勢でいくようでは海外から尊敬できる国民とはされないでしょう。
7.以上のような考え・思いを持つに到っている私としては昨日のフォーラムはほんとうに
  意義あることでした。
  長嶋先生のお話は、ズバリと本質をつく話であり、『安全保障条項』が不在の現憲法は
  あるべき憲法の視点からみて、「憲法が(あるべき)憲法に違反していて、自己矛盾を
  きたしている」との指摘はまったく正しいと考えました。
  加藤先生のお話は、従来の護憲・改憲の議論で見落とされがちなところを丹念にフォ
  ローされてまさに目からうろこが落ちるような思いがしました。とくに私にとって、先生が
  「憲法で理想を掲げよう」あるいは「理想を貫こう」とする立場の人々に対して「その場合、
  それを唱えている人が理想に殉じるのは個人の自由としても、他の人にも理想に殉じる
  ように強制できるか」と指摘されたことは、現実に即したリスクマネジメントを展開している
  私にとっては我が意を得たりの感がしました。
  また議長を務められた井関先生の議事進行のさばき方・すすめ方には公平公正に出席
  している方々の質問や意見をよく聴いてすばやくまとめ講師の先生方へ答え易いように
  つなぎ、また他の異なる意見も探るなど快適なスピード感をもってよくなされていることに
  大変感動いたしました。
  当日はまた、渡辺先生から憲法9条は昭和天皇からの発議から始まったのではないか
  という新しい角度からの発表などもあり(これに関してはこれからの研究課題として取り
  組んでいくことになりましたが)たいへん充実した密度の濃い政策構想フォーラムとなり
  ました。
  これを企画実行された大脇代表はじめ、多くの関係された方々へ衷心より厚く御礼申し
  上げます。 
                                            12月14日  原 優治